維新のヒーロー
ここの所、歴史小説、剣豪小説にハマッています。
講座に行く途中、青山通りの古本屋で安岡章太郎の『流離譚』が200円で売っていて
びっくりしてしまった。上下巻でこの値段。小説が読まれなくなっているとはいえ、
この値段では、本が気の毒。
若いときに読めずにいたので、買ってしまいました。
作家の郷里である土佐の旧家の一族の歴史を探って、幕末の志士に辿り付く。
日本の近代化がどのような形で生身の人間の生き方として描かれているのか、
資料に基づいているので文語体も多く、読みにくいが夢中になってしまった。
歴史小説って私にとっては、究極のミステリーで想像力を刺激されます。
幕末というのは、大きな時代の変革期。
ドラマチックで興味をそそられてしまうのです。
そしたら、ラジオで坂本龍馬の手紙を土佐弁で朗読している番組を聴きました。
この手紙の朗読がおもしろく、彼の大らかで、飄々とした人柄が感じられて秀逸。
当時の手紙は、候文が当たり前なのに、土佐弁で語られると、イキイキとした
人物像が浮かび上がってくる。
得意になっている気分の時には素直にエヘン、エヘンなんて言葉を使っている。
やっぱり、既成の枠をはみ出している人柄は、手紙にも表れています。
というわけで、
次が司馬遼太郎の『竜馬がゆく』8巻を読了。
「青年よ大志を抱け」のモデルのような人物ですねえ。
坂本龍馬の写真はどこか、遠くを見ているようで茫洋としている。
当時としては大柄だったようだが、あまりハンサムじゃない。
偉大なことをしたとはとても思えない、行儀悪そうで、無愛想な感じだ。
それに較べ龍馬と一緒に暗殺された中岡慎太郎は、写真を見るかぎり、
魅力的。
気合の入った凛々しい表情の写真と正反対の笑みを浮かべた表情。
なんて翳りのない、すがすがしい笑顔なのでしょう。
こういう落差のある人、好みです。
久方ぶりにトキメキました。
でも、この幕末という時代、倒幕派と佐幕派に分かれ、尊王攘夷だ、開国だと大義
を掲げて、男は命をかけて生きている。
かっこよさげだけど、正義のために簡単に人殺しをするんだから、
このヒロイズムにはやっぱりついていけない。
維新の志士って結局、戦前の軍部の狂信性につながるような気がして、
どうも純度の高いものは惹かれるけれど、引いてしまう。
現代では、穏やかな草食系男子が増えているという。
閉塞状況を打ち破るヒーローの誕生を待望するより、ずっと安心できる。
軟弱でしぶといしたたかさで時代を生き延びる知恵の方が、武力なんて手段で
問題解決を図ろうとする潔さや強さより、ずっと必要とされていると思うのだけれど。
| 固定リンク
「雑感」カテゴリの記事
- ほめる(2009.09.29)
- 裁判官の国民審査(2009.08.28)
- 織物完成 エトセトラ(2009.08.26)
- ゴーヤに蝉(2009.08.17)
- 久しぶりの墓参り(2009.07.15)






コメント