読書

2009年9月30日 (水)

シズコさん

母親との葛藤を赤裸々に書いているという話を聞いていたので、なかなか
読む気になれなかった『シズコさん』。                            

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体癖的にいうと、10種母娘の関係の臭いがするし、もうカンベンという
気がした。この体癖同士の組み合わせは反応が過激で濃密だ。

それはなぜかというと、私には佐野洋子のような和解がなかったからかな
とも思える。

母親の認知症がもたらした救いの時間。
よかったねえ佐野さんと声をかけたくなる。

今でいえば、虐待家庭に育った彼女。早く死んだ父親と弟の関係もすさまじい。

私もDV家庭に育っている。こういう家庭に育った大変さというのは私自身の存在
そのものが証拠になっているような気がする時があるくらいだ。

損なわれている自分をなんとか埋めようとジタバタしている時は苦しかったが、
埋められないとあきらめ、空虚な自分を受け入れられるようになって楽になった。

ヘンを隠さず、表にまともに出すと、けっこうまっとうに思われてしまうという効果が
あったりする。

エネルギーが強いのも過酷な環境で生きてきた中で培われたようなものだ。

「シズコさん」のように自分の母親を○○さんと固有名詞で呼んでみるといい。
母親という関係に距離をおいて一人の女性として見えてくるものがあるかも
しれない。

シズコさんと私の母親の共通点というと、

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2009年8月 8日 (土)

鶴見和子の短歌

『長女の社会学 鶴見和子を語る』を読んだ。

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弟の鶴見俊輔 が書いている。
私はなぜか、この姉弟関係に惹かれてしまう。

二人とも高名な知識人だが、弟に対して姉は保護者的な役割を担っていた所が
似ているせいかもしれない。

同じ親に育てられても長男と長女ではずいぶんと違う。
愛情の名による虐待に近い母親への反発を不良青年として
少年期を過ごした弟と父親に溺愛されて育った優等生の姉。

優等生より不良少年の方がオモシロイから手に取る本は俊輔の方が多いが、
鶴見和子の学問的業績、社会活動家としての側面、趣味の豊かさ、
生活を楽しむための食や着物へのこだわりなど、
その美意識も一本筋が通っています。半端なものではありません。

背景にあるエリート家庭に生まれた育ちのよさは一目瞭然。
戦前生まれの自立したシングルの知的女性のロールモデルのような女性です。

ところが、誰にでも訪れる老い。
晩年は病気による後遺症で思うように身体を動かせない身になって、
無力な自分に向き合わざるを得ません。
そこで起きる価値の転換、新たな視点の獲得を和子の短歌とともに俊輔は
評価しています。

脳出血で倒れた臨死状態の中で、娘時代に習った歌があふれ出してきたという
彼女の歌に共感しました。

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2009年7月 6日 (月)

植松三十里 「千の命」

『お龍』に続いて、』植松三十里の『千の命』と『彫残二人』を読んだ。

彼女の作品は埋もれた歴史上の人物を発掘し、物語にしている。

千の命は江戸時代中期、出産が女性にとって、死と隣り合わせだった時代に
独学で臨床の現場から回生術をあみだし、多くの難産の女性を救った賀川玄悦
の生涯を描いている。

西洋の医術に先駆けて、母体の中の胎児の正常な位置を知っていたという。

現代だって、産科医不足で病院をたらい回しにされて妊婦が死亡のニュースが
流れるくらいだから、今だに出産は女性にとって命がけかもしれない。

江戸時代、医者に診療してもらうこと庶民にとっては高値の花。

そんな時代に、売春を職業にしている女性たちのために子どもを産める場所まで
作っていく。

その情熱は妾腹の生い立ち、難産で実母を失う際にも親子の名乗りを
上げることはできず、身分によって治療を受けられない母親を救えなかったくやしさ
と罪悪感が玄悦が命を救う仕事に携わる強い動機となっている。

封建時代の家父長制というのもすさまじい。女性はひたすら忍の字だ。

回生術をあみだすための患者がたくさん必要だったという面もあるだろうから、
単純な善意には収まらない執念もよく描かれている。
資料からこれだけの人物像を創造していく作家の筆力には感嘆してしまう。

当時のお産の歴史を知るだけでなく、妻妾同居の夫婦の葛藤、子どもたちとの葛藤
など家族の物語としても読める。

人の誕生や死が病院で管理されるような時代になって、命は見えないものになって
しまったなあとあらためて思った。

彫残二人に描かれた林子平は江戸時代の三大奇人のひとりらしい。

大砲を装備すれば国を守れるという国防策についてはよく分からないが、
幕府の弾圧にもめげずに、自分のに書いた版木を命がけで守りぬこうとする姿は、
感動的。

自分の足で日本中を歩いて国防の必要性を説いた本を出版しようとする子平の
念はすごい。
生きている時には報いられることのなかった人生に光を当てている。

ペリーショックを迎える時代の危機を先取りしていた先見性を示しているそうだ。

私が両作品に共感するのは、社会の底辺にある人々、売春婦やアイヌの人たちに
対する眼差しが時代の制約がありながらも、主人公を通して生活者として公平に
描かれていること。これはきっと作家の眼差しでもあるのだろう。

いずれにしろ、使命感に燃える人間のエネルギーというものはすごいものだ。

私に一番欠けているものだなあと本の世界でひたすら、感心するばかり。

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2009年6月22日 (月)

待つ女

司馬遼太郎の『竜馬がゆく』はおもしろかった。
幕末という動乱の時代に志半ばで倒れたドラマティックな坂本龍馬の人生。

あっという間に読んでしまった。

時代の先を読む洞察力、先見性、行動力、決断力、交渉力、ものにこだわらない
潔さ、剣の強さばかりでなく、和歌や三味線も嗜んだようだし、愛嬌もある。

少なくとも、司馬遼太郎が作り出した人物像ということを差し引いてみても、
会ってみたいと思わせる魅力が確かにある。

でも、私は女だから男が活躍する物語の陰で生きた女性に関心が向く。

そこで、阿井景子の『龍馬の妻』と植松三十里の『お龍』を読んだ。

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同じ女性を描いて、これほど違うものか。
昭和(1979年初版)と平成(2008年)の時代の違いかもしれない。

阿井作品は、龍馬の死後再婚した夫、妹との三角関係を中心にした愛憎ドラマ
として描かれている。島尾敏雄が帯で絶賛しているくらいだから、その心理的
葛藤はすさまじい。

植松作品は、お龍と龍馬との関係を中心に現代的なラブストーリーになっている。
日露戦争開戦間際に、皇后の夢枕に龍馬が現れたという話を権力は龍馬を軍神
に祭り上げ、戦意高揚に利用する。結末で龍馬を平和を望む和平主義者として
描いている点、共感できる。

いづれにしても、お龍は時代のはみ出し女だと思う。
同じ日に暗殺された中岡慎太郎の妻、兼とは正反対。

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2009年3月12日 (木)

気になる老師-盛永宗興

ラジオの深夜便のアーカイブスで、すでに亡くなっている盛永宗興という禅宗の
お坊さんのインタビューが印象に残って、本を借りて読んだ。

だいたい、偉いとされるお坊さんの話を聞いても、仏教的な専門用語が並ぶので
よく分からないし、説教くさくてどうも聴く気になれないことが多い。

でも、この老師は違った。もし、生きていたら、会ってみたいなと思わせる何かを
感じた。

こういうこと、あんまりないんだけれど・・・。時間がたってもふと頭に浮かんでしまう。
ドーンと、頭というより、お腹に響く話だった。

高所からではなく、何故、自分が出家したのか、師匠と弟子の出会いや修行の
過程で、自分が囚われている生意気な自分やエゴを正直に語られる話の内容と
語り口に惹きこまれてしまった。

私自身が自分にこだわるエゴの強い人間なので、弟子であった老師が自分の
師匠から身を持って思い知らされる体験は、我が身にも起きるであろうこととして
容易に想像できてしまう。

ごまかしようのない自分に向き合わされる体験と言えるかもしれない。

紹介すると、こんなエピソードがある。

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2008年12月20日 (土)

「貧乏人の逆襲」で元気になる!

師匠に、「これ、読むといいよ」と言われ、読んでみた。

『貧乏人の逆襲!ータダで生きる方法』という本だ。

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タイトルを見て、今後の私の行く末を慮ってのことかなとヘンな気分。
でも、読んでみるとオモシロイ!

師匠のブログで内容は紹介されています。

なんと、私も著者の母親に何度か会ったことがある。

確か、母親は6種8種系の体癖じゃなかったなあ。
自分のことを棚に上げて言うのもなんだけれど、前の職場で会った人たちは
かなりヘンでユニークな人たちが多かった。

田舎で自給自足というのは聞いていたが、息子さんがこんなおもしろいこと
をしているのは知らなかった。

「俺は作家になる」と言って、突然会社を辞めてしまった父親と自称アナーキスト
で各地を転々としながら生きる母親に育てられたとの事。

好き勝手に生きる見本のような親から、今時めずらしい野放図な子どもが
育つんだなあと読んでいて爆笑。

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2008年12月10日 (水)

絵本の世界

あわただしい毎日を過ごしているが、最近寝る前のひと時、
絵本にはハマッっています。

視力が落ちているせいか(しっかり老眼です)、長い時間の読書がきつく
なっています。それでも、寝る前に何か本を読みたくなってしまうのは、
長い間の習慣でしょう。

図書館で、自分の好みに合う絵本を探してみました。

子どもの頃、絵本を読んだ記憶ってあまりありません。
母に本を読んでもらったことはあるのですが、フランダースの犬、家なき子、
ああ、無常(レ・ミゼラブル)。むかしはこういうタイトルでした。

キリストの伝記など、どれもかわいそうな話ばかり。
まったく好みじゃないけど、影響されたかも。

唯一、嫌な思い出としてよく覚えているのはディズニーのシンデレラの絵本。
幼稚園だが、小学校入学したての頃がはっきりしませんが、
お絵かきの宿題というのがありました。

子どもの頃から宿題など、強制的にやらされるものはたいてい苦手。
まして描きたくもないのに描かなくてはいけないなんてのは、とんでもない負担。

母が見かねて手伝ってくれることになり、ディズニーのシンデレラの絵本を持って
きました。その中のある場面を薄紙に写して下書きしました。
その上に色を塗ればよいと母に言われました。

子どもの目から見ても、これは子どもが描く様な絵じゃないよなと思いましたが、
母は真剣です。私がシンデレラの髪の毛を黒の絵の具で塗りました。

そのとき、母の刺すような大声。「何やってるの!シンデレラの髪の毛はこんな
黒じゃないでしょ、金髪じゃない。何見てるの!せっかく手伝ってあげたのに、
もう勝手にしなさい!とすごい剣幕。

いやはや、驚いた。

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2008年6月16日 (月)

ねじり系エッセイスト

佐野洋子の新作エッセイがが出ました。

ラジオから仕入れた情報で、まだ読んでいないのですが、
役に立たない日々』というタイトルです。

418t8rlyzjl 著者70歳、もしかしたら最後の作品になるかも
                               しれないなあと寂しい気分。

何年か前に読んだ著者60代歳のときのエッセイ、

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神も仏もありませぬ』は、シブトクしたたかに老いの前哨戦を生きている姿に
ほろっとさせられたり、

誰にでも訪れる老いを手なずけながらも、
ボーゼン気味に格闘している姿に色々なことを感じながら、
自分を重ねたりできるので、理屈抜きに好みのエッセイストです。

『がんばりません』」、『私はそうはおもわない』、
若い人向けの『友達は無駄である』、など
他にも読んだかもしれませんが、
今思いつくのはこれくらいです。

この人の過激さが大好きです。
どれも、痛快な気分で思わず爆笑、元気になれます。

ちょっと言えないようなことをずばずば言ってくれてといっても、
女性や外国人に対して差別的な発言を平気でするどこかの知事や
「ずばり言うわよ」と脅し文句で説教を垂れる人たちとはちょっと違うのです。

頭で考える理屈や自分を高みに置いてではなく、
自分の感じていることを基点に葛藤する気持ちを小気味よく語ってくれるので、
思わず、ホントにそうだよなあと共感してしまいます。

本を読んで葬式が好きだなんてことが書いてありました。
写真も見ないうちからこの人、絶対8種系体癖だと確信しました。

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2007年12月20日 (木)

車谷長吉から

車谷長吉『盬壺の匙』文庫本の短編集を読んで、
この作家の原罪意識の強さにまず興味がそそられた。

作品の中で、特に印象が鮮烈だったのが「吃りの父が歌った軍歌」だ。
日本の文学作品をいじめや虐待の暴力の視点で
読み直したらどういうことになるだろうか、などと考えてしまった。

主人公の子ども時代の体験は私には虐待としか表現できない。.
親の言う事を聞かない主人公が、
便所の上澄み水を飲まされるなどの描写は、半端じゃない。

親子関係の問題の上にさらに兄弟間の葛藤が加わるのだ。
あらためて想像以上にすごいものがあるなと感じた。

以前勤務していたフェミックスという会社でフェミニスト・カウンセリングを
学んでいたとき、自分の問題を考える上で母娘関係をテーマに考えてい
くことが多かった。

講座でアドラー派の心理学を学んで兄弟・姉妹の葛藤というのも、
すさまじいものがあると知って、自分にも思いあたることがあった。

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